【ATTENTION】
真・女神転生Ⅴのネタバレを含みます
次回からchapter9へと移行します
真・女神転生Ⅴのネタバレを含みます
次回からchapter9へと移行します
「創造主が敗れる筈がない。だが、もし本当に敗れたとしても……神は必ずや戻られるだろう。だからそれまで我らが手を取り合って人々を導かねばならない。それがベテルの使命なのだ。主の創り給うたこの世を維持する事がベテルの使命……異論はあるまい?」
諭すようにアブディエルが言うが、既に他の支部は手を取るつもりは無い様だ。
「あるぞ! 貴様らの神は死んだ、いい加減認めろ!!」
ゼウスがとうとう怒りを露わにすると同時にヴァスキが便乗する形で呟いた。
「その通り。この世界はシヴァ様が終わらせます」
「それはそれで困るな、次の創世の座に就くのは私だ」
今まで静観していたオーディンも野心を露わに。
「……しかし、ナホビノの禁は未だ生きている。それは創世の座の権利が主にあるという揺るがぬ証拠だ」
アブディエルの問いに対し、すかさずコンスが桜の方向を向いて説明する。
「では、この場にナホビノが居るという事をどう説明するのかな?」
他の支部の悪魔も桜を見る。
確かに桜は神造魔人で有れどもナホビノの資格があり創世を行う事が可能。
すなわち、アブディエルの信じる神は創世の座を認めたのだろうか。
「……成程。つまり神野桜の存在そのものが主への冒涜であるという事」
桜に向かって金色の剣を投げつけるが寸前で宙返りをして回避する。
もうこうなれば戦いは避けられない。
それぞれの支部代表や越水長官、ユヅルやイチロウも見守る中で戦闘は幕を開ける。
「僕も貴方の考えに呆れていたんです。主への冒涜とか、秩序を守るとか。大体ですね、縄印学園にラフムが襲来した時も、貴方達が邪魔しなければタオもサホリも命を落とさずに済んだのに。だから僕は貴方を許す気は一切ありません!」
「桜が怖ぇ……アイツ本気で怒ってる。でも俺としては少し複雑……」
「あそこまで怒るのも珍しいな」
ユヅルやイチロウが怯えているのも無理は無い。遠くからでも桜から殺気を感じるのだ。
「ならば、私が自ら粛清してやろう!」
「粛清されるのは貴方の方ですからね!」
怒りや悲しみが呪いの言葉となって柘榴の様に彼の右手に集まり一気に握り潰す、国津罪ノ穢レ。まるで血のような雫がアブディエルに滴り落ちる。
能力値の変動が一切無い中で4桁ダメージを叩きだし毒に冒す。アブディエルが大天使故に、呪殺に弱いのもあるが。
「如何?」
片足立ちでヴェールを纏った女神ラクシュミが、敵全体の全能力値を1段階低下させるランダマイザを唱え、暗黒の三原色が包み込む。
さらに動くは影の女王、地母神スカディ。
弱点であるムドバリオンでも良いが1度だけ物理を跳ね返す補助スキル、テトラカーンを次の仲魔に唱える。
今回の戦いで初登場となる妖鬼オンギョウキは鼓膜が張り裂けそうな咆哮を上げて注意を自分の方に向け、さらに補助効果で防御力も1段階上昇。
「罪事よ!」
再び桜が使うは国津罪ノ穢レ。
ラクシュミは先程とは逆に味方全体の全能力値を1段階上昇させるラスタキャンディを唱えて閃光の三原色が包み込んだ所でターンが終わる。
アブディエルは桜を金色の剣で斬り付けようとした。
しかしそこにいたのは彼では無くオンギョウキ。
さらに言えばスカディのテトラカーンによる物理反射シールドが見えていなかったのか、自分の攻撃が反射されダメージを喰らい毒ダメージも追加されプレスアイコンは全部消滅。
何故ならば反射されたり吸収されれば味方も敵も全消費。お陰ですぐにこちらのターンが回って来た。
冷静そうに見えて桜は激怒していた。
今まで幾度も無くベテルに邪魔された憎しみが込み上げてきて徐々に与ダメージが上昇していく国津罪ノ穢レ。
他の仲魔も支援や妨害を行い徹底的に追い詰めていく。
頼みの攻撃も一切届かず反射され、毒との相乗効果によって肩で息をして剣を突き立てて跪くアブディエル。
「もう終わりですか?」
哀れむように呟く桜。
完全に主導権は握っている――それは、1つの時代の終わりであり1つの決着。
「せめて苦しまずに逝かせてあげますよ。罪事よ……今まで僕が味わって来た辛さをこの身に焼き尽くせ!!」
呪いの言葉が幾重にも重なり、仲魔の力を借りてでも――最後に終わらせたのは桜自身であった。
◇
「馬鹿な……この私が敗れるとは……」
アブディエルが、ナホビノである桜に敗北。
固唾を飲んでいた他のベテル支部の悪魔は確かに決着を見届けた。次に出会う時は協力では無く、桜との対決であろう。
「大天使を下すとは、ナホビノとはこれ程の力か……創造主が恐れるのも頷ける。では、私も自分の知恵を取り戻すとするか」
北欧支部のオーディンはマントを翻し。
「ベテルの協力体制はここでおしまい。ここからは競争って事だね。そして、次に会った時は敵同士だ」
エジプト支部の代表であるコンスは歩きながら姿を消して。
「この事態……シヴァ様に報告せねば」
インド支部の代表代理であるヴァスキも去る。だがシヴァ自身は苦行<ルドラ>中だが大丈夫なのだろうか。
「じゃあな」
ギリシャ支部代表のゼウスは背中を見せてその場から消えた。
「どいつもこいつも勝手な事を……満足か、ツクヨミ。これで全ての悪魔が混沌に堕ちた。ベテルの秩序は今、崩壊したのだ!」
アブディエルが憎々しい目線で越水を射抜き言い放つ。
「あぁ、満足だとも」
様々な思いが交錯するが、その声はあまりにも冷徹で。
「そもそもたった一柱の神が全世界を統べるというのが過ちだったのだ。我ら日本支部が次の王座を得た時には、多くの神々が見守る新しい秩序を作り出そう。ではアブディエルよ、さらばだ」
最後に笑みを浮かべ踵を返す越水。
躊躇は一切見えず桜やイチロウ、ユヅルもその後を追う。
「……アブディエル様」
ただ少し、イチロウが立ち止まり寂しそうな表情を浮かべていたのは気のせいだったのだろうか。
諭すようにアブディエルが言うが、既に他の支部は手を取るつもりは無い様だ。
「あるぞ! 貴様らの神は死んだ、いい加減認めろ!!」
ゼウスがとうとう怒りを露わにすると同時にヴァスキが便乗する形で呟いた。
「その通り。この世界はシヴァ様が終わらせます」
「それはそれで困るな、次の創世の座に就くのは私だ」
今まで静観していたオーディンも野心を露わに。
「……しかし、ナホビノの禁は未だ生きている。それは創世の座の権利が主にあるという揺るがぬ証拠だ」
アブディエルの問いに対し、すかさずコンスが桜の方向を向いて説明する。
「では、この場にナホビノが居るという事をどう説明するのかな?」
他の支部の悪魔も桜を見る。
確かに桜は神造魔人で有れどもナホビノの資格があり創世を行う事が可能。
すなわち、アブディエルの信じる神は創世の座を認めたのだろうか。
「……成程。つまり神野桜の存在そのものが主への冒涜であるという事」
桜に向かって金色の剣を投げつけるが寸前で宙返りをして回避する。
もうこうなれば戦いは避けられない。
それぞれの支部代表や越水長官、ユヅルやイチロウも見守る中で戦闘は幕を開ける。
「僕も貴方の考えに呆れていたんです。主への冒涜とか、秩序を守るとか。大体ですね、縄印学園にラフムが襲来した時も、貴方達が邪魔しなければタオもサホリも命を落とさずに済んだのに。だから僕は貴方を許す気は一切ありません!」
「桜が怖ぇ……アイツ本気で怒ってる。でも俺としては少し複雑……」
「あそこまで怒るのも珍しいな」
ユヅルやイチロウが怯えているのも無理は無い。遠くからでも桜から殺気を感じるのだ。
「ならば、私が自ら粛清してやろう!」
「粛清されるのは貴方の方ですからね!」
怒りや悲しみが呪いの言葉となって柘榴の様に彼の右手に集まり一気に握り潰す、国津罪ノ穢レ。まるで血のような雫がアブディエルに滴り落ちる。
能力値の変動が一切無い中で4桁ダメージを叩きだし毒に冒す。アブディエルが大天使故に、呪殺に弱いのもあるが。
「如何?」
片足立ちでヴェールを纏った女神ラクシュミが、敵全体の全能力値を1段階低下させるランダマイザを唱え、暗黒の三原色が包み込む。
さらに動くは影の女王、地母神スカディ。
弱点であるムドバリオンでも良いが1度だけ物理を跳ね返す補助スキル、テトラカーンを次の仲魔に唱える。
今回の戦いで初登場となる妖鬼オンギョウキは鼓膜が張り裂けそうな咆哮を上げて注意を自分の方に向け、さらに補助効果で防御力も1段階上昇。
「罪事よ!」
再び桜が使うは国津罪ノ穢レ。
ラクシュミは先程とは逆に味方全体の全能力値を1段階上昇させるラスタキャンディを唱えて閃光の三原色が包み込んだ所でターンが終わる。
アブディエルは桜を金色の剣で斬り付けようとした。
しかしそこにいたのは彼では無くオンギョウキ。
さらに言えばスカディのテトラカーンによる物理反射シールドが見えていなかったのか、自分の攻撃が反射されダメージを喰らい毒ダメージも追加されプレスアイコンは全部消滅。
何故ならば反射されたり吸収されれば味方も敵も全消費。お陰ですぐにこちらのターンが回って来た。
冷静そうに見えて桜は激怒していた。
今まで幾度も無くベテルに邪魔された憎しみが込み上げてきて徐々に与ダメージが上昇していく国津罪ノ穢レ。
他の仲魔も支援や妨害を行い徹底的に追い詰めていく。
頼みの攻撃も一切届かず反射され、毒との相乗効果によって肩で息をして剣を突き立てて跪くアブディエル。
「もう終わりですか?」
哀れむように呟く桜。
完全に主導権は握っている――それは、1つの時代の終わりであり1つの決着。
「せめて苦しまずに逝かせてあげますよ。罪事よ……今まで僕が味わって来た辛さをこの身に焼き尽くせ!!」
呪いの言葉が幾重にも重なり、仲魔の力を借りてでも――最後に終わらせたのは桜自身であった。
◇
「馬鹿な……この私が敗れるとは……」
アブディエルが、ナホビノである桜に敗北。
固唾を飲んでいた他のベテル支部の悪魔は確かに決着を見届けた。次に出会う時は協力では無く、桜との対決であろう。
「大天使を下すとは、ナホビノとはこれ程の力か……創造主が恐れるのも頷ける。では、私も自分の知恵を取り戻すとするか」
北欧支部のオーディンはマントを翻し。
「ベテルの協力体制はここでおしまい。ここからは競争って事だね。そして、次に会った時は敵同士だ」
エジプト支部の代表であるコンスは歩きながら姿を消して。
「この事態……シヴァ様に報告せねば」
インド支部の代表代理であるヴァスキも去る。だがシヴァ自身は苦行<ルドラ>中だが大丈夫なのだろうか。
「じゃあな」
ギリシャ支部代表のゼウスは背中を見せてその場から消えた。
「どいつもこいつも勝手な事を……満足か、ツクヨミ。これで全ての悪魔が混沌に堕ちた。ベテルの秩序は今、崩壊したのだ!」
アブディエルが憎々しい目線で越水を射抜き言い放つ。
「あぁ、満足だとも」
様々な思いが交錯するが、その声はあまりにも冷徹で。
「そもそもたった一柱の神が全世界を統べるというのが過ちだったのだ。我ら日本支部が次の王座を得た時には、多くの神々が見守る新しい秩序を作り出そう。ではアブディエルよ、さらばだ」
最後に笑みを浮かべ踵を返す越水。
躊躇は一切見えず桜やイチロウ、ユヅルもその後を追う。
「……アブディエル様」
ただ少し、イチロウが立ち止まり寂しそうな表情を浮かべていたのは気のせいだったのだろうか。